潔癖性

潔癖性

玄関で作業をしている鍵屋さんが上を見るのは、鍵穴が雨で濡れてサビたと思ったからだろう。 鍵屋さん、「一式、交換をしたほうが良いですね」 私、「交換でお願いします」 再び、鍵屋さんが上を見たのは、玄関には屋根があり、鍵穴が濡れる場所ではないから。 鍵屋さん、「鍵穴を濡らしました?」 私、「はい。主人が潔癖性で、毎回、カギを水洗いしてから鍵穴に差し込むんです」 鍵屋さん、「そうなんですか」 鍵屋さんが、あまり驚かなかったため 私、「カギを水洗いするなんて、珍しいでしょ?」 鍵屋さん、「そんなことないですよ。悪いウィルスが流行してからは、玄関のノブに除菌のスプレーをする人は増えてますよ」 鍵屋さんが言ったのは、玄関のノブの部分であって、鍵穴ではない。 カギを一式交換すると、鍵屋さんに新しいカギを3つ渡された。 1つは私が使い、もう1つは主人、残りのカギはスペアー用に残しておく。 鍵屋さんが帰られると、私は交換したばかりのカギを、キレイに除菌した。 鍵屋さんが触れた箇所は、全て除菌した。 カギ以外に渡された領収書も、除菌した。 主人が帰宅すると、「お前、また除菌しただろ」 私、「・・・」 潔癖性なのは、主人ではなく私。 潔癖な私は、指紋や顔で開けられるカギに交換するのも良いと思ったのだが、主人が「どうせ、除菌で壊すだろうから、安いのにしとけ」と言うから、昔からある一般的なカギに交換をしてもらった。 潔癖性だから、私のカギにも主人のカギにも、キーホルダーの類は付いてない。

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