突然

突然

場所は社会人になって間もない頃に賃貸してたマンション。

隣駅が繁華街ということもありそのマンションには色々な人間がいた。
飲み屋のママさんだったり、明らかにそちら系のお兄さんとか…。

ただお互いルールは暗黙に守って生活していたと思う。
騒音問題とかほとんどなかったし、たまたま僕の部屋の隣が静かだけだったかもしれないが。

ある日会社を休んだ。

風邪を引いたとかそんな特別な理由じゃなく
ただ「なんとなく」「休まなきゃ」という感じ。

今思えば本能がそうさせたのかもしれない。

何かをするつもりで休んだ訳じゃないのでその日は当然ヒマだった。
仕事の方が来週から忙しくなるので寝だめでもするかと思い布団に横になった。

横になってウトウトし始めたころに玄関のインターホンが鳴った。

当然出なかった。

こんな時間に来るのはセールスくらいだろうと思って僕は放置を決めた。

ピンポーン…ピンピンポーン!…ピンポピンポ!しつこいし!連打しやがるし!?

あまりの強引さに文句を言ってやろうと立ち上がった矢先
こんどはドアノブをすごい勢いでまわし始めた。

「○○さん?いるんだろう?開、け、ろおらっつ!!」

知らない名前を叫びながらさらに回す勢いを増す。
ヤバイと思った僕は受話器を取りそいつに聴こえるよう大声で警察に電話をかけた。

「ちっ!」

そいつは結構あっさりと引き上げてくれた。

翌日不動産屋の担当に来てもらって鍵を交換してもらった。
○○さんは前にこの部屋を契約してた人で
詳しくは聞かなかったが恐らく借金かなにかで夜逃げでもしたんだろう。

こんな怖い思いはもう二度としたくない。

以来僕は繁華街近くの賃貸に住むことをやめた。

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